作品解説

当劇団 裏長屋マンションズの座長を務める俳優 赤塚真人は、1985年8月12日に発生した日航ジャンボ機墜落事故で
一人の親友を失った。プロのジャズドラマーを目指し、片時もその手からドラムスティックを離さなかったその青年は、
あの日、羽田発大阪行きの日本航空123便に乗りこんだ。

 彼は何処へ行こうとしていたのか。そして、機上で何を想ったのか。

物語は、父親との確執を抱えたまま事故機に搭乗した青年の思いを軸に、実在したライヴクラブ「ぶすはうす」(実際に
2003年まで営業)を舞台に描かれる。登場人物もすべて実在した人物がモデルとなっており、劇中のエピソードも実話を
もとに展開される。青年を偲ぶ追悼ライヴのシーンから、ストーリーは始まる。

作品は、座長赤塚が中心となって書き下ろされたオリジナル脚本。あの事故で絶たれた520余名の想いを、
そして遺されたものの想いをけっして忘れてはならない、風化させてはならないという大きなテーマを掲げつつ、
笑いあり、涙ありの人情喜劇に仕立てられている。


「当たり前の日常が、ある日突然失われることがある。」


座長赤塚が悔やむのは、なぜあのときもっと優しい言葉をかけてあげられなかったのだろう。もっと彼の話を
聞いてあげられなかったのだろうということだった。「まず、ふとした瞬間でいい、大事な人を思い出してほしい。
そして身近な人を大切にしてほしい。耳を傾け、声をかけてほしい。」
このメッセージが、ストーリーを通じて、やわらかく伝えられる。

裏マンの前身、劇団TA2時代の2004年に初演、新聞報道等にも採り上げられ連日満員の大きな反響を呼んだ。
事故後20年の節目となった翌2005年には続編が「第二章」として上演される。

そして2008年、赤塚真人率いる 新生 劇団 裏長屋マンションズの本公演第一弾として、新しく生まれ変わった
この『8・12~絆~』が上演されることとなる。また今年は、2006年に赤塚真人が出演した舞台
「掌(たなごころ)一杯のぬくもり」をきっかけに親交を深めた星槎グループ 宮澤保夫会長との共同企画
により、星槎グループゆかりの地、神奈川県二宮のでの公演も実現。学生生徒を中心に地域の皆様に足を運んで
いただき、各回500人のホールを埋めるほどの大きな反響を呼んだ。