「8・12」/STORY
ストーリー

    青年は、プロのドラマーを目指し来る日も来る日もスティックを握り続けた。バイト先のライヴクラブでも、
   その厨房で、ドラムセットで刻まれる彼のリズムは、一日もやむことなく鳴り響いた。
    ある日、店番をする彼のもとに一本の電話がかかってくる。彼はむしり取るように受話器に飛びついた。
   そしてその数日後。1985年8月12日。蒸し暑い夜であった。
    午後6時56分。彼を乗せた羽田発大阪行き日本航空123便は、離陸直後の事故でコントロールを失った
   まま32分間に及ぶ迷走飛行の末、群馬県上野村の、後に「御巣鷹の尾根」と名付けられる、群馬長野県境
   御巣鷹山の斜面に激突した。乗員乗客524名とともに。

    舞台はかつて青年の通ったライヴクラブ「ぶすはうす」。あの事故から20年の月日が経っていた。
   そして今日は、20回目の8月12日。毎年、青年を偲んで行われてきた追悼ライヴには、いろいろな人間が
   様々な想いを胸に店を訪れる。だが、その日は不思議な夜だった。やがて、思わぬ形で誰も知り得なかった
   真実が明らかになる。